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1月 「紡木たく/マイ ガーデナー」刊行後の反響など

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
新年最初の編集雑記は、昨年12月8日に発売した「マイ ガーデナー」について、その後の反響なども含めて書きます。
紡木たくさんはほんとうに寡黙です。自分が語りたいことはすべて作品のなかにこめたから、もうこれ以上は聞かないで、とでもいうように一切の雑音を無視して、担当編集者である私にも多くを語りません。だまって自分の信じる世界を突き進んでいくかたです。「マイ ガーデナー」を描くために、身を削るようにして時間を作っておられました。一切の手抜きはありません。もし手抜きをしたなら3年もの歳月がかかるはずもありません。ネームだけでも全体を何回書き直したかわかりません。現代人の時間のスパンはとても短いのですが、まるで時間にとらわれず、どう描くかだけに集中しておられました。

「マイ ガーデナー」で何を語りたいのか、それは今までずっと彼女の作品で語ってきたことと同じです。行き場のない、捨てられてしまったような孤独で寂しい人間。そんな人間にも必ず愛してくれる人がいる、ということを伝えたいのです。信じられないような世界観かもしれません。古臭い、ダサい、読んでいて恥ずかしい、と思う人もいるようです。あるいは、この世界観をまったく理解できずにいる人もいます。紡木ファンならだれもが知っていることを、初めての読者はピンとこないらしいのです。この反応は高齢者に多いのですが。しかし、確実にこのコミックによって救われている、慰められている人がいるのです。それを確かめることができて、うれしく思っています。

この本の形式につて、何人かのかたが、この本は絵本かケータイ小説みたいだ、と指摘されています。それは正しい指摘です。最初からコマ割りはぜず、詩のような作品にしたい、という思いがあったようです。長い時間をかけて作品を少しずついただき、最後に全体を通して読んでみたとき、正直にいうと、私はこれを小説として売っても面白いんじゃないか、と思いました。そして、そのことを相談したこともあります。紡木さんはあくまでもコミックとして描いておられました。しかし私の提案に対して真っ向から反対する、ということもなく、ただ「小説ですか・・・」と静かに笑っておられたのです。ISBNコードをつけるとき、同時に、この本を図書館の棚のどこに置くことになるのかを決定する分類コードをつける必要があります。それは出版社がつけるのですが、コミックか小説にするか、迷いました。どちらで売れば読者に届くだろうか? 結局はコミックとしてのコード(C0079)をつけました。それは正解だったと今は確信しています。ただ、残念に思うのは、紡木さんが希望しておられた「図書館においてほしい」という希望がなかなか,かなわないことです。図書館は予算削減のためでしょうか、コミックを購入するのにたいへん慎重になっています。これが小説コードをつけたなら、図書館は「紡木たくの小説」ということで、こぞって購入してくれたと思います。最終的に図書館でどのくらい購入してもらえるのか、それがほんとうに気がかりです。しかし、この本は基本的には紡木たくファンのための本です。待ち望んでいたその人たちの手に届いたならば、それでもう満足です。

12月8日に発売して今日で1ヶ月。3刷が出来上がり、書店からの注文をいつでも受けられる体制です。12年ものあいだ新作を待っていたファンにどうか届きますように。それが今年の願いです。長く静かに売れてほしい本です。
この本に対する,読者からのお便りも載せてあります。どうぞ御覧ください。
http://www.amushobo.com/dokusha/dokusha10674.html

 

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