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10月 あの戦争を考える

  「ある人間がある思想・主義を抱き、その思想に基づいてある判断を下し、その判断の下に一つの発想をして、その発想の下に計画をたて、その計画を実行に移したのである。そしてその人は、そうすることを最善と考えた――ではなぜ最善と考えたのか。彼らの多くは誠心誠意それを実行した。それは残念ながら否定できない事実ではないか。そして誠心誠意やったということは何ら正当性を保証しないことを、われわれはいやというほど思い知らされたのではなかったか。その人たちがどれほどまじめであったかなどということは無意味である以上に、その人たちを醜悪化し戯画化することも無意味である。」

これは『ある異常体験者の偏見』(山本七平著、文藝春秋)、291ページからの引用である。この文章に引用されている“ある人間”とは軍国主義者のことだが、最近、このことと多少かかわりのある事が起こり、あえて、この文章を書き留めておいた。
この機会にもう一度きちんと、61年前のあの戦争を考えておきたいと思い、小林よしのりの『いわゆるA級戦犯』などをはじめとして、さまざまな本を読んだ。

そのなかの一冊が『日本人と中国人』。山本七平の著作だが、中国交回復に国を挙げて沸きかえっていた30年前に書かれたもので、「古くから常にぎくしゃくしてきた日中関係について、日本側の問題点を、足利義満、秀吉、竹内式部、新井白石、平田篤胤、西郷隆盛らを通して、歴史的に考察」したもの。これを読むと、中国はやはりアジアの中心であり、日本は辺境国にすぎないことがよくわかる。それは日本の古代史を知っている人は、当たり前じゃないか、と言うかもしれない。律令制度にしても仏教にしても、日本はなんでも中国や朝鮮から輸入してきたのだから。とにかく、日本人の問題点がかなりはっきり見えてくる。征韓論も2.26事件も日支事変(日中戦争)にしてもすべて日本人の側の問題であるようだ。

何冊か読んでみて、やはりあの戦争は侵略戦争だ、と自分なりに結論をだし、納得することができた。安倍政権が誕生し、日本は徐々に、キナ臭い方向へ舵を切っているように思えてならない。タブーであった憲法改正も現実味をおびてきた。私は戦後生まれなので直接には知らないが、戦争中の軍国主義、ファシズム、特高の支配した日本に再び逆戻りするのはぞっとする。日本人は情緒的な民族だ。一つの方向へとわっと流れていく民族。ナショナリズムに火がつくのが怖い。とにかく、平和のありがたさを大切にしたい。 

 
 

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