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8月26日 もっと読んでね

 『出版クラッシュ!?』がおかげさまで好評である。8月4日に東京の大手書店の店頭に並び、祈るような気持ちで「さあ、売れるかな」と思っていたところ、在庫分がすぐになくなり、その日のうちにあわてて重版を決めてしまった。重版といっても小社のような小出版社の場合、大変なリスクである。決断は早いほうだがやはり迷った。返品は必ず来る。それまで待つべきかどうか。今回はとても待てないと判断して、すぐに手配した。印刷屋さんも製本屋さんも紙屋さんも一斉にお盆休みに入るので、なんとかお盆休み明けには出来上がるようにお願いする。さあ、何冊重版しようか? また迷う。作家のDさんにこの本の感想を聞き感触を確かめる。「いけそうだ」という感じがしたので少し多めに。重版の単位も500冊、1000冊という単位である。こんなにささやかな部数なのに、迷うなんてオーバーだなあと自分で笑う。しかし過去に大失敗をしているので慎重にならざるを得ない。沢山刷り過ぎて紙を無駄にすることも耐えられない。重版分はいまのところ順調に追加注文をいただいている。8月20日の朝日新聞の読書欄コラムに取り上げられたおかげで、問い合わせも多い。とにかく、もっともっと読んでいただきたい。

  親しくしていただいている推理作家の雨宮町子さんの新刊『たたり』(双葉社)が発売になった。黴をモチーフにした面白い小説だ。随分前から、國岡という私の名前を使ったので「ごめんなさい」と言われていた。なぜ、「ごめんなさい」なんだろうと不思議に思っていたところ、読んで納得。登場人物の一人である國岡男爵の次男がとんでもない奴で、イメージが物凄く悪い。ガックリきてしまった。名前というのは不思議なもので結構その人を縛っているように思う。私はすぐに野末陳平『姓名判断』(光文社)を開いて悪人・國岡獅朗を調べてみた。やっぱりひどい運勢だった。おおこわい! ぴったりあたっている。雨宮さんに電話をして、姓名判断でこの名前をつけたのか尋ねたところ「全然知らなかったわ」とのこと。そうとは思えなかったが……。『たたり』はキングの『シャイニング』に肩を並べるくらいの傑作だと養老孟司先生は褒めている。『シャイニング』ほど怖くはなかったが、暑い夏の夜にはピッタリのおどろおどろしい物語である。

  もう1冊本の話を。『出版クラッシュ!?』の著者の一人である小田光雄さんと一緒にパピルスという出版社を共同経営している鶴ヶ谷真一さんの『書を読んで羊を失う』(白水社)が面白い。面白いというより、凄い知識がぎっしり詰まったすばらしい本である。先ごろ、この本は日本エッセイスト・クラブ賞を受賞したが、あまりの博識に読んで腰をぬかした人がいたとか。本物の編集者とはこれほどの学殖をもっているものなのかと驚く。鶴ヶ谷さんは誠実で謙虚な人。本のイメージとピッタリ一致している。
 

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