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文庫、新書の海を泳ぐ

 (宝の山かも、文庫と新書の古本)

小田光雄「文庫、新書の海を泳ぐ パーパーバック・クロール」(編書房) オンライン書店bk1のホームページに掲載されていたものが約半分なので、 bk1で読んだことがあるという人があるかも知れません。 私も一ヶ月ほど前にbk1で読み、興味をそそられた本がいくつかあって、 古本屋めぐりの都度、文庫コーナーと新書コーナーをチェックしていました。 この一カ月間でやっと見つけたのが、次の三冊です。 当然というか、全て別の日に別々の古本屋で見つけました。 結城昌治「暗い落日」(角川文庫) 私立探偵・真木シリーズの一冊 梶山季之「李朝残影」(講談社文庫) 初期作品集で、表題作は直木賞候補作とのこと 藤本泉「呪いの聖域」(ノン・ノベル、祥伝社) 伝奇推理もの 積んどく本が増えるばかりで、いつ読み始めれるのかわかりませんけど、 これが新たな出合いのスタートになるかも知れないと思うと楽しみです。 「文庫、新書の海を泳ぐ」は、本の海原で出合いを演出してくれる本の一冊です。 (古書店・夢の屋・HP古本あれこれ■□2003.5/25 より引用)

 前書の『図書館逍遥』と同じく一気に読ませていただいた。読書のナビゲーションとでもいうべき深い本である。「読書はあまり役に立たない。経験こそが大切だ」という言葉がマンエンしている。さにあらず。読書そのものが深い経験のひとつなのだ。「本当の勉強は読書だけではできない」。さにあらず、すべての読書が勉強そのものなのだ。しかも快楽を伴う唯一の勉強とさえいえるかもしれない。本書はその神髄を教えてくれる。あるすぐれた絶版本を教えてくれた上で著者はその本を探しに古本屋へ走れ!とアジテートする。ならば、私も言おう。すべての本好きの方々に!「本書を買うために新刊書店に走れ!」と。(建築家、脇博道様)

一番面白く 読んだのは、「消えた乱歩賞作家」というのでありましょうか。 「藤本泉」さんというひとは、もちろんはじめて聞く名前であり ますが、この作家はいまどこにと思います。覆面作家とか、 そのむかしはいろいろといたけども、この作家の場合には、 単に姿を消してしまっただけなのでしょう。「反近代と近代の 戦いのクロニクルのように読めるのであり、その戦いはこと ごとく前者が、後者を敗北させる。犯人も犯罪も常に正しい。」 なるほどね、このような人がいたのかな。 ということで、小生はけっこう楽しんで読みました。(公務員、福嶋修様)  

 いつもながらの小田さんの浩瀚な書物の渉猟ぶりにただただ圧倒されています。その映画 ビデオの類も膨大な量を見ておられるようなので、暇があれば寝ている私など には想像もつかない勉強ぶりと推察しております。 ただ、文章の字数制限(?ネット上でもそういうものがあるのでしょうか)のせいか 論旨が十分に展開せずに、突然結論が来ていてそれが時にとても強引に聞こえるのが 気になりました。例えば下世話な例ですみませんが81ページのオリンピア・プレス の章の結語など、「そうした流れを受けて、フランス書院文庫をはじめとする国産ポ ルノグラフィの現在の隆盛があるのであり、すべてはオリンピア・プレスに起源が求 められることになる。」とありますが、本当にそうでしょうか? 日本には独自に立 派なポルノグラフィの伝統をもっているように思うのですが。これは一例ですが、そ ういう強引さを処処に感じたもので一言。(出版社経営者、I/Mさん)

 編書房の本はいつも、手元にあるとすぐに読みたくなってしまいます。 今回は秋らしい装丁ですね。さっそく一気に読み終えました。 違う時代に書かれた本たちや、一見異質なジャンルに収まっている本たちを 自由に解きほぐして、その背景を紹介しながら深化させていく小田氏の手腕 (博識)に乗せられました。 読み終えて、古書店や図書館に行きたくなる本ですね。 ジャン=パトリック・マンシェット、ロス・マクドナルドの『運命』、 現代教養文庫の旅行ガイドなど、探して読んでみたくなる本がたくさんありました。 「わが家の夕飯」は今まとめて出版すれば売れるだろうな…とか、 バルザックが一通り出たから次はエミール・ゾラか…とか、 編集、企画に携わっている人には絶対おすすめの本だと思います。 時折小田氏個人の生活、背景が垣間見えるのも良かったですが(自炊の天才)、 全体を覆っている、現代消費社会(アメリカ化)に対する批判、嫌悪感は 重く残りました。いわるゆブックガイドとは一線を画していますね。 (PR誌編集、富田健さん)

 『図書館逍遥』も面白かったですが、『文庫、新書の海を泳ぐ──  ペーパーバック・クロール』も楽しいです。面白い、とか、楽しい、とか月並みなことを言ってますが、実のところ覧強記ぶりがスゴイ……と驚いているんです。 いくつか読ませていただいたなかでは、「松本清張と読者」が興味深かったですね。『本読みの虫干し』で「司馬遼太郎に比べて、現在、ほとんど読まれていない」と書かれていると知り、ふーむ、そうなんだろうか、事実なんだろうか、と思いました。たしかに、いつぞや朝日新聞が「この百年でいちばん好きな作家」とかいうテーマで読者アンケートを募ったところ、たしか一位が夏目漱石で、二位が司馬遼太郎でしたよね。司馬遼太郎は一般読者のあいだでは人気があるのだと思います。でも、これは私の勝手な憶測かもしれませんが、作家たちのあいだで、どちらが読まれているかといえば、それはもう断然、松本清張でしょう。小田さんが言っている「多くの作家たちに大きな影響を与えてきた」というのは真実です。かくいうアタクシも松本清張の大ファンです。松本清張のどこがいいといって、なんといっても、あの暗く淡々とした文章です。いつか、ああいう文体で書けたら……というのが夢ですね。絶筆となった『神々の乱心』ですが、あの結末を書かせてもらえるものなら、書いてみたい、と考えている作家さんは少なくないと思います。 (推理作家、M/Aさん)

 『文庫、新書の海を泳ぐ』読了しました。さすがによく知っているし、よく書いていると思います。売れるかどうかはわかりませんが、本や出版界に関心のあるひと、小田ファン向きですね。問題点を抉り出すテーマではないので、そこが弱いかもしれません。(評論家、櫻井秀勲さん) 

 

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